マッチポンプの意味と由来

マッチポンプの意味と由来

マッチポンプ、という言葉がある。マッチが英語のmatch、火をつけるマッチで、ポンプはオランダ語のpomp、水を掛ける際に使用するポンプ、というのが語源となっている。このマッチとポンプを組み合わせた和製外来語が、マッチポンプだ。自分で火をつけておきながら、その火を自ら水で消す作業も行う。もう少し踏み込んで言えば、わざと揉め事を起こしたり状況を悪化させながら、その解決法も提示することで利を得ようとする行為を意味する。和製外来語なので、英語で表現する言葉はない。その代わり、自作自演を表す文章として、act in the play of one’s own writing(自分で書いた劇を自分で演じる)などが紹介されている。自作自演とマッチポンプの違いとしては、自作自演は、ただ自分で作った台本を自分で演じる、という面がある。一方のマッチポンプは、悪意や意図、また利益を得る、相手を支配する、といった側面が強調される。マッチポンプの由来は、1966年の黒い霧事件の際、田中彰治代議士の手口に関する新聞の言及で使われ始めた、という記録が残っている。また、その数年前、1961年の松井誠議員の国会質問で、マッチポンプという言葉が登場している。

世に、いわゆるマッチ・ポンプ方式といわれるものがあります。右手のマッチで、公共料金を上げて、もって物価値上げに火をつけながら、左手のポンプでは、物価値上げを抑制するがごとき矛盾したゼスチュアを示すのをいうのでございましょう。 –  国会会議録

この語り口を見るかぎり、この頃すでに一般ではずいぶんと普及していた表現だったのだろう。マッチポンプ的な手法というのは、意図的にせよ、結果的であるにせよ、世の中に溢れている。例えば、恋愛の駆け引きとして、相手をわざと不安にさせながら安心を与える、という手法も、ある種のマッチポンプだ。このままだと地獄に落ちるぞ、と怯えさせながら、この壺や数珠さえあれば救われる、という霊感商法もマッチポンプと言える。また、文字通り、火をつけ、水で消火する放火魔の消防士もいる。個々人の規模から、より大きな規模まで、マッチポンプは無数にある。必ずしもそれが単純悪というわけではないが、意識的なものから無自覚なものまで、マッチポンプは溢れ、この作用を利用している人たちも少なくない。

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