堤未果氏、『100分de名著』で「ショックドクトリン」

堤未果氏、『100分de名著』で「ショックドクトリン」

歴史的な名著の内容を深掘りし、解説する『100分de名著』というNHKの番組の6月のゲスト講師が、ジャーナリストの堤未果つつみみかさんで、解説する書籍は、カナダ人ジャーナリストのナオミ・クライン著『ショック・ドクトリン』とのこと。ショックドクトリンとは、〈戦争、津波やハリケーンのような自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとが茫然自失から覚める前に、およそ不可能と思われた過激な市場主義経済改革を強行する、アメリカとグローバル企業による「ショック療法」(岩波書店)〉を意味する。

要は、火事場泥棒のようなもの(場合によっては、自ら火をつけて消火もする「マッチポンプ」)であり、まさに、コロナ騒動というのも、分かりやすくショックドクトリン的に利用されているように見える。危機を煽って、ワクチンを売りたい、といった類の欲望自体は、まだ見えやすく、2009年の新型インフルエンザ騒動の際には、マスコミでも批判の対象として取り上げられていた。製薬会社との結びつきによって、WHOがパンデミックを誇張していたのではないか、と欧州で批判が挙がったことが記事になっている。

東京新聞 2010年

この世の中、こういった発想があったとしても、特段不思議なことではない。ただ、今度のコロナの場合は、新型のmRNAワクチンの問題だけではなく、この騒動を利用し、ほとんどあからさまと言ってもいいほどに、デジタル化推進や、WHOの権限の強化なども進めていることが特徴として挙げられる。

ショックドクトリン的に利用されていることに対し、著書『デジタル・ファシズム』や自身のYouTubeなどを通しても、堤未果さんはずっと警鐘を鳴らしている人なので、その堤さんを招き、「ショックドクトリン」をテーマに行う、ということは、番組側からのはっきりしたメッセージではないかと思う(NHKの局自身は、むしろ「ショックドクトリン」に加担している側だと思っている)。

>>街も給与も教育も、米中の支配下に!? 「日本デジタル化計画」の恐るべき裏側に迫る『デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える』が発売

実際、堤さん自身、Twitterで、「今まさにショックドクトリンをしかけられている日本へ」と書いている。また、キーワードとして、「金融危機」「パンデミック条約」「グレートリセット」「緊急事態」などの言葉が添えられている。

グレートリセットも、別にフィクションの世界の用語ではなく、世界経済フォーラムが掲げ、岸田首相も、「我々はグレートリセットの先の世界を描いていかなければならない」と彼らに向かって語っている。グレートリセットとは何か、我々がなぜグレートリセットの先に行かなければならないのか、国民は説明を受けただろうか。

グレートリセットとは

パンデミック条約とは

堤さんは、近著『ルポ 食が壊れる』で、「食のグレートリセット」についても書いている。

食のグレートリセットとは、近い将来の食糧危機に備える新しい仕組みづくり。環境に負荷がかかる畜産や農業を最新テクノロジーによって置き換えようという試みだ。AIが農民に代わってデジタル農業を営み、食肉や乳製品は遺伝子操作とバイオ技術で作りだし、必要な栄養も添加によって補う。そのためのルール変更も始まり、欧州では政府が畜産頭数を制限、家畜の出す温室効果ガスに課税するなどの政策が進められているという。

 – 「ルポ 食が壊れる」堤未果著|日刊ゲンダイ

WHOの権限強化に関しても、「パンデミック条約」が問題視されている。パンデミック時(パンデミックの定義自体曖昧で、現状、WHO次第となっている)には、国家からWHOに権限が移譲されるのではないかと懸念され、アメリカでは、最近イーロン・マスクが批判したことでも話題になっている。

感染症のパンデミック(世界的な大流行)が発生した場合の対応に関する「パンデミック条約」の創設について、実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏が「WHOに権限を譲るべきではない」とツイッター(Twitter)に投稿したことに対し、「フェイクニュース」だと警告した。

 – パンデミック条約に関するマスク氏ツイートは「フェイクニュース」 WHO|AFP BB News

日本のマスコミでは、こういったキーワードすらほとんど報じられることはないので、この手の話をしようとすると陰謀論の類に入れられる。しかし、別に荒唐無稽な話ではなく、彼らの「正義」(たとえそれが悲惨な結末に終わろうとも)のもとに着々と進んでいることだろう。

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