マーク・エドワーズの絵

マーク・エドワーズの絵

じんわりと孤独感を漂わせる不思議な絵。作者は、マーク・エドワーズ(Mark Edwards)というスコットランドの現代のシュルレアリスム画家である。彼は、若い頃、山々に囲まれた湖のほとりにある、電気もない小屋で、将来の妻となる女性と一緒に暮らし、その場所で子育てもしていたそうだ。

マーク・エドワーズの絵は、作品の背景にどういう物語があるかは分からないが、よく雪景色のなかに山高帽とコートという身なりの紳士風の男が立っている。絵のなかの男は、一人の場合もあれば、二人や三人の場合もある。一匹の犬がいることも多く、真っ赤な風船が描かれていることもある。

空間や作風に漂っているのは、静かに孤立した世界だ。ただ、雪景色や犬によって少しほぐれ、完全な孤立や絶望感はなく、ほのかに優しさもある。独特の孤独感のなかに、心地よさがある。

>>The Art of Mark Edwards

シュルレアリスティックな雰囲気で、山高帽の男の絵と言うと、ルネ・マグリットの『人の子』という作品を思い出す。

ルネ・マグリット『人の子』 1964年

男の顔には、緑の林檎があり、端から目が覗く。マグリットは、この作品について、次のような言葉を残している。

少なくとも、それが顔であることは分かっているものの、リンゴが顔全体を覆っているため、部分的にしかわかりません。私たちが見ているものは、一方で他の事を隠してしまいます。私たちはいつも私達が見ることで隠れてしまうものを見たいと思っている。人は隠されたものや私たちが見ることができない事象に関心を持ちます。この隠されたものへの関心はかなり激しい感情の形態として、見えるものと見えないものの間の葛藤となって立ち合われるかもしれない。

– ルネ・マグリット『人の子』作品解説|アートペディア

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