原因ときっかけの違い

原因ときっかけの違い

原因ときっかけは違う。もう少し正確に言えば、原因ときっかけは、必ずしも同じではない。

たとえば、もう一杯一杯だと言って誰かが涙を流したとき、涙がこぼれた「原因」とは何か。

恐らく、そのときの原因は一つとは限らないだろう。

仕事のストレスかもしれないし、恋愛の悩みかもしれない。子供の頃に負った心の傷が少しずつ蓄積していたのかもしれない。その様々な要因が、複合的かつ複雑に絡み合っていたのかもしれない。

一方、「ちょっと待ってくれ、その原因を説明しよう」と、身体的な「メカニズム」を涙の原因の説明に当てる科学者もいるかもしれない。

あるいは、コップの水が今にも溢れ出しそうなときに、周囲の人に言われた些細な一言が「最後の一滴」となって涙が溢れた際、その一言が原因の全てを押し付けられることもある。

しかし、それは「きっかけ」ではあったとしても「原因(の全て)」とは限らない。

それにもかかわらず、僕たちは、つい「原因」を排除すれば「解決」に向かう、と考え、その「原因」として、単一であり表面的なものを犯人に仕立てる。

だが、ほんとうにそれが「原因」なのか。単なる「きっかけ」ではないのか、「メカニズム」の説明ではないか。原因というのは「一つ」なのか、また、その「奥」の根本的な原因もあるのではないか。

こうした疑問を持つというのは非常に重要なことだ。

さもなくば、その都度、目に入った「きっかけ」を排除しては束の間の安心を得る、ということを繰り返すことになる。そして、ほんとうに大切なものまで捨て去っていくことになるかもしれない。

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