物語性のようなキャンペーン

物語性のようなキャンペーン

分科会の尾身会長が、首相に対し、若者の接種推進のために「物語性のようなキャンペーンをしていただければありがたい」と伝えたそうだ。

単に「ワクチンしましょう」ということではなく、もう少しみんなが興味を持てるような物語性のようなキャンペーンをしていただければありがたいなと(伝えた)。総理も関心を示していただいて、検討してくれるかもしれない(尾身会長)。 – 若者のワクチン接種、どうすれば進む?尾身会長が首相にアイデア披露|朝日新聞

この人は、一体なんの専門家なのだろう。新聞も、「アイデア披露」と呑気な見出しではなく、もう少し違和感や批判的な視点は持てないのだろうか。とは言え、マスコミも、テレビCMにせよ、新聞広告にせよ、大事なスポンサーに関連することは批判ができないのかもしれない。モデルナもファイザーも、それぞれ違う角度のテレビCM(モデルナはYouTubeやTverでも流れていた)を打ち始めているし、ファイザーの広告は新聞にも出てくる。

ファイザーの新聞広告は、テレビCMと繋がっている。テレビCMでは、接種をすることで、おじいちゃんおばあちゃんに安心して会える(接種しても感染はするのだから、せめておじいちゃんおばあちゃんが接種すればいいだけの話なのに、CMでは、若い家族が接種する物語になっている)ということを仄めかす設定で、「からだにも、冬じたく。」「ワクチンで、守れる幸せがある」という暖かいコピーが並ぶ。

>>モデルナのCM|K note

尾身会長の言う「物語性のようなキャンペーン」とは、こんな風に感情に訴えかけるCMやキャンペーンを行なっていくべき、ということなのだろうか。ブランディング戦略に、「ストーリーブランディング」という手法があるが、そういった手法をもっと駆使すべき、と言っているのだろうか。

ストーリーブランディングとは、製品やサービスが持つストーリー、つまり物語性を活用するマーケティング手法です。開発にまつわるエピソードや、発売までの道のりを積極的に見せていくことでユーザーの共感を呼び、ユーザー自身をストーリーに引き込んで感情に訴えかけます。 – 【徹底解説】ブランディング活動のひとつ「ストーリーブランディング」とは?

別に、情緒的な演出や手法そのものは否定しないが、接種後の被害も少なくない医薬品で、しかも若者にターゲットを絞って感情面に訴えかける必要が、一体どこにあるのだろう。まして、分科会の会長が首相に進言すべきことではないと思う。

以前も、突然インスタのアカウントを開設し、「ねえねえ尾身さん」キャンペーンを行なった。思ったほど若者の接種率に繋がらなかったのか、あるいはコメント欄に数多く寄せられた、彼らにとって不都合な声が面倒だったのか、あのアカウント(@omi.shigeru)は、2021年末以来、すっかり放置されている。

なぜ、こんなにも若者や子供にターゲットを絞って、接種を推進しようとするのか。打ちたくない人が多いなら、それでいいではないか。契約上のノルマで若者や乳幼児の接種率も決められ、破ったら膨大な賠償金でも支払う必要があるのだろうか。契約内容は、企業との秘密保持契約として、国民にも知らされないことになっているようだ。

諸々のことに、怪しい、不気味だ、という感覚しかないが、信じている人たちは、彼らが、本気で我々の健康や命のために「打たせよう」としていると思うのだろうか。

若者へのキャンペーンと言えば、先月公開された、若者受けしそうな画風のアニメーションを使った京都市のPR動画も、ずいぶんと不気味なものだった。

柔らかなメロディと、それから、皆さん、日常は足りていますか、日常が戻ってくるために、今できることを、という歌詞とともに、「大切な人、大切な日々のために、一日でも早いワクチン接種を」というナレーションが入る。

当初、まるでワクチンを2回接種したら日常が戻るかのように謳っておきながら、2回が終わったら、3回、4回と続き、そのなかで若者がワクチンをさらに接種したら“日常”が、なぜ戻るのか、このワクチンが、なぜ“大切な人のため”になるのか、京都市は一体どのように説明するのだろう。副反応被害についてはどう考えているのだろうか(参照 : ワクチン接種数時間後に急死 「息子は浴槽に沈んでいた…」国の結論はまたも“評価不能”|CBCテレビ)。

兵庫県保険医協会の保険医新聞(2022年10月15日号)には、次のような対談記事も出ている。

福島 そもそも変異を繰り返すウイルスに、ワクチン一辺倒で対応する戦略が愚策です。わたしは論説記事に「こうした戦略で新型コロナウイルスが抑え込めると考えるのは妄想である」と表現しました。日本の状況は異常で、ワクチンを接種しない人へのハラスメントまで起こっています。

広川 残念ながらこれはあちこちで聞かれる話で、自分の決定は強制されるべきでなく、個々の自己決定が支えも守られもしない。とても大きな問題だと思います。

福島 しかも、厚労省が定期的にアドバイザリーボードに報告している統計では、驚くべきことにワクチン接種者の方が、感染率が高くなっています。表をみればわかりますが、10万人当たりの陽性者数は、50歳代、80歳代を除いた年齢層で「2回接種者」の方が「未接種者」に比べて多くなっています。顕著なのは65歳から69歳で、新規陽性者数は「2回接種者」は3倍、「3回接種者」で2倍、それぞれ「未接種者」より多くなっています。

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広川 先日開かれた兵庫県保険医協会の西宮・芦屋支部の世話人会で「発熱外来の実感としてワクチン接種の有無で有意差を感じない」「ワクチンを接種し続けても感染者は増え続けている」「重症化防止のエビデンスもないのではないか」との意見が出されました。お盆以降のごく短期間ですが私が診察した患者さんの状況でも、抗原検査で20人陽性で、9割がワクチンを受けられた方で、4回目を接種してから1週間前後の2人が陽性でした。

福島 開業医の先生方が実臨床の経験から「ワクチンが効いていないのではないか」との実感を持っているとの話は非常に重要です。そもそも「接種した人の方が陽性率は高い」ことは、免疫学的に重大なことを示している可能性があります。

広川 ワクチンが効果を上げられないとするならば、そのワクチンそのものによる免疫機能の低下など、何らかの影響が及ぼされている可能性もあるのでないかという意見も聞かれますが。

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西山 ワクチン接種後の死亡事例が多数報告されていますが、厚生労働省はまったく因果関係を認めようとしていません。

広川 7月23日の先生のご講演で示された厚生労働省発表の「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」では死亡発生は接種2日後が最多で主に1日~3週間あまりにわたってみられていました。

福島 「薬を飲んで、いつもと違うことが起こったら薬のせいと考える」これが薬害防止の基本姿勢です。そもそもCOVID-19のワクチンは、米国における早期臨床試験の結果が出た段階で、特例承認されたものです。いわば見切り発車で、安全性と有効性が十分確立していません。しかも現場の医師が「おかしい」と感じてわざわざ報告したものだけで接種後の死亡が1779件(22年7月10日現在)、重大な事態です。

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福島 今や陽性者も、大半が無症状、軽微な風邪で、感染はしていても不顕性感染かもしれない、単にそれだけのことです。治療プロトコールは確立しており、陽性者数のみで大騒ぎするのは異常です。しかもこれ以上の頻回接種は、免疫に異常が生じ、将来どんな問題が起こるのか、大変危惧されます。

データからも「ワクチン接種で感染しやすくなっている」としか説明のしようがなく「何のための接種か」が問われています。「モノ言えば唇寒し」で皆が口をつぐむなか、先ほど紹介された現場の開業医の先生方の感覚が的を射ており、今こそ開業医の診療実感をまとめてほしいと思います。それができるのは保険医協会しかありません。− 特別インタビュー 科学的怠慢に満ちた国の新型コロナ対応|兵庫県保険医新聞

>>ワクチン高接種率とコロナ感染増に因果関係? 秋田と山形 10歳未満の新規感染、下げ止まり傾向|河北新報

上記のような状況もあるなかで、なぜ、一日も早く打つことが、“日常”を取り戻し、“大切な人”を守ることに繋がると考えられるのだろう。

京都市は、昨年も、若者へのメッセージとして京都大学の山中教授の発信を流していた。

山中氏は、乾いた眼差しと声で、前半はコロナの恐怖を煽り、後半では、「接種すれば、ウイルスは体に侵入できなくなる」「発熱などの副反応が多くの人で起こるが、数日で必ず治る」「接種で将来何か起こるんじゃないか、不妊になるんじゃないかというのは根拠のないデマ」「あなたを感染から守る」「多くの人が打てば、社会から感染が減る」「社会を以前の状態に近づけるには、80%以上の接種が必要」と語っている。

果たして、「根拠のないデマ」とは一体なんだろう。

また、ひたすら接種を推進し、政府広報にも登場する、阪大病院の忽那くつな医師(参照 :【教えて忽那先生!】第5回「ワクチンを接種して亡くなった人がいると聞きました。因果関係はあるのですか?」)が、最近公開した「マスク会食」の動画にも、うんざりし、恐怖さえ覚えた。

ケルベロスやらケンタウロスやら、細かく分類しては次々名前がつけられ、わざわざイラストまで用意するメディアもあるほど、「変異」を活用した煽りで溢れているが、ある意味で、「もはや全て覚えきれませんが」というのは、正直な感想なのかもしれない。「いつも同じ結論」ということからも分かるように、彼の言葉からも常に、とにかく接種を推進したい、ということは伝わってくる。

その彼が、先日公開した「マスク会食」の動画というのが、『くつ王サイダー』というYouTubeチャンネルで配信された「新しい会食のカタチ」を提案したもので、繰り返しになるが、これは初期の公開ではなく、2022年11月18日公開である。

冒頭から、相当げんなりする演出が施されている。忽那氏自身が出演し、「Kutsuna scope」と称して、「症状が少しでもあったら参加しないように」「食事中は、口に運ぶとき以外はマスクをするように」といった警告が出される。

Kutsuna scopeでは、「Rock on」という表記が入るが、「Lock on」でしょ、とスペルミスに関する指摘も数多くされている。彼がプライベートで作った動画ではなく、阪大病院の名前も入っている、れっきとした公式の発信で、これはなんだろう、と正直思う。

おふざけの演出で誤魔化しているが、個人的には、この「scope」の発想自体が恐ろしいなと思う。監視社会、医療管理社会が進むほど、このscopeは、より不気味に先鋭化していくように思う。

体調が悪かったら気軽に休める社会、というのは悪いことではなく、過剰医療への対策(参照 : インフル発症対応、世界標準は「検査も治療も必要ない」)のためにも、ゆとりのある社会になること自体は重要だと思う。

>>過剰医療の傾向が強い日本、世界のタミフルの8割を使用

ただ、だからと言って、「マスク警察」や「不健康警察」が蔓延る社会、ちょっとでも体調不良なら行動するだけでも警告が出される社会、あるいは、顔認証含めた医療監視・管理社会のなかで、たとえば「不健康」な人間は行動が制限されるような社会になったら、相当に息苦しく、恐ろしい世の中だと思う。

この忽那氏自身も、AI化された不健康警察の手によれば、肥満体型として警告が出され、食事を購入する際などに、様々な制限を掛けられるかもしれない。

それにしても、なぜこういった締め付けを、しかも海外ではだいぶ自由が戻っているのに続けようというのだろうか。

忽那氏の動画に関しては、プロ野球の関根大気選手が声をあげ、ネット上でも広く拡散された。また、マスクに関して、ワールドカップ開催地のカタールでは「自分が異常なのではないかと思えてくる」と語っている新聞記事もある。

ドーハ市街、また各国の報道関係者が集まるメディアセンターで、マスクを着用しているのはごく少数だ。密閉空間で不特定多数と接する公共交通機関の地下鉄も同様で、日本にいる感覚で常時マスクを着用している自分が異常なのではないかと思えてくる。 – カタール便り マスク着用は異常?|産経新聞

テレビでワールドカップの試合の光景を見れば、誰も気にしていないことは一目瞭然であり、鳥取県の平井知事が、先日、「大きな呼吸を伴うイベント」は感染増加の要因になるから、学校のイベントに注意するように呼びかけた(参照 : 「大きな呼吸を伴う」学校の秋のイベント 感染増加の要因に)が、なぜ子供をそれほど締め付けようとするのだろうか。ほとんど洗脳教育に近いほど、「呼吸」にまで罪の意識を背負わせることに、なんの違和感や不安も覚えないのだろうか。

画像 : ふるさとの味 近江八幡の小学校の給食に地元老舗の水ようかん|NHK 2022.11.22

画像 : FIFA World Cup[Twitter]  2022.11.24

日本で締め付けが解かれない理由の一つは、シンプルに、なんとしても「接種をさせたい」からなのではないかと思う。安心して、終わった空気になってもらっては困る、特に、若者や子供、乳幼児に接種させたいのだろう。

政府は、最近、経団連にワクチン接種促進の依頼をしている。こんなものは、暗に企業にワクハラをやってくれ、と言っているようなものではないだろうか。経団連は、ワクチンパスポートの推進派でもある(参照 : ワクチンパスポート 経団連が国内での活用推進求め政府へ提言|NHK)。

大学にもワクチン接種の協力要請をしている。政府は、なんとしても、なんとしても、「オミクロン株対応ワクチン」を接種させたいのだということがよく分かる。

ワクチン担当の松野博一官房長官は7日、東京都内の日本私立大学連盟や国立大学協会などを訪れ、新型コロナウイルスのオミクロン株対応ワクチン接種への協力を要請した。– ワクチンで大学に協力要請=松野官房長官

エンターテインメントの世界でも、経産省との関連で、3回以上接種済みなら映画が1200円(子供は800円)で観られる、という割引キャンペーンが行われる。

陰性証明は不可。もともと接種したからと言って感染しないわけでもなく、検査で陰性だからと言って次の瞬間には感染するかもしれないのだから、いずれも「感染対策」としては意味がないが、陰性証明が不可ということは、(建前上はイベント産業の需要喚起だが)もう露骨に接種推進のためのキャンペーンなのだろう。

また、若者や子供だけでなく、乳幼児への推進もしつこく、たとえば、鳥取では、生後6ヶ月から4歳の接種率が、2週間で0.3%と、多くの親が、慎重になり、打たせない選択を取っていることが伺える。自分の友人知人も、自分自身や親は打ったとしても、子供には打たせない、という人ばかりだ。決しておかしな判断ではないと思う。

ところが、その接種率の低さを補うために、接種用の時間を設けた小児科医に財政的支援を行なってまで打たせようとしている。

生後6か月から4歳の子どもへの新型コロナのワクチン接種は、11月から県内各地で始まっていますが接種希望者が少なく、1瓶で10人分接種できるワクチンを使い切れず、廃棄せざるをえないことが課題となっています。

乳幼児のワクチン接種について、平井知事は17日の記者会見で、接種を推進する取り組みを行う小児科に対して、財政的に支援を行う方針を明らかにしました。

具体的には、乳幼児のワクチン接種で専用の時間帯を設けると1時間あたり14万円を支援し、予約を集約させて廃棄されるワクチンを減らしたい考えです。また接種回数の実績に応じて、一日あたり5人以上で10万円、一日あたり10人以上で20万円をそれぞれ支援します。 – 乳幼児ワクチン接種 接種専用時間帯設けた小児科医に財政支援|NHK

慎重になって打たせない親が多いのに、なぜ、こんな風にあの手この手を使ってでも打たせようとしてくるのだろうか。

追加接種の割合の比較を見たら、日本が、圧倒的に「鴨」にされているのではないかという気がしてくる。追加接種率の低い国々で、悲惨なコロナ被害が出ているだろうか。もともと接種率の低い、アフリカの国々はどうなっているだろうか。

また、海外との比較だけでなく、同じ日本国内でも、小児接種率の低い地域と高い地域で、はっきりと差が出ている。

画像 : @0kh0tska

特に東北は高く、関西や沖縄は低い傾向にある。

ある推進派の医師は、コロナワクチンの安全性と効果について、次のように語っている。

綿密に安全性が調査されているとは思えないし、ワクチンなしなら10万人以上死者が増えていた、という話も、それなら未接種者の死者が爆発的に増加していないと成り立たない(そもそも接種率の低い国はどう考えているのだろう)と思うが、仮に、この言葉を信じるとして、接種率の差がある地域や学校を追跡調査し、比較して、「接種率の高い地域や学校では副反応や原因不明の体調不良も少なく、コロナ被害もこんなに少ない」、一方、「接種率の低い地域や学校は、コロナでこんなにひどいことになっている」といった事態に、(もし本当になるのなら)情報を集めて提示すればいいのではないだろうか。

少なくとも、「物語性のようなキャンペーン」より、ずっと分かりやすく、説得力のあるものになるのではないかと僕は思う。

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