愛国心 - ジョージ・オーウェル「1984年」

愛国心

オーウェルの『1984年』には、プロールという階層が存在する。

プロールたちは、貧困層で、教育の機会に恵まれず、エネルギーに満ちている。彼らを従わせるために、権力者は「素朴な愛国心」に訴える。

プロールたちが強い政治的意見を持つことは望ましくないのだ。かれらに必要なのは素朴な愛国心だけ。それに訴えれば、必要なときにはいつでも、労働時間の延長や配給の減少を受け容れさせることができる。

かれらが不満を覚えたときでさえ、実際、そうした状況がないではないのだが、その不満は何の変化ももたらさない。

なぜなら、かれらは全体を見通す考えを持たないので、不満をいくつかの取るに足らない個別の原因に帰着させるより他なかったからである。かれらはもっと大きな悪の存在には絶対に気づかない。- p111

ジョージ・オーウェル『1984年』より

そして、どれほど不満を持ったとしても、プロールは根本的な原因には辿り着くことができない。

彼らは、個別の取るに足らない原因にのみ、不満の矛先を向け、「大きな悪」の存在に気づくことができないのだ。